先日、島根県の出雲・松江を訪れる機会がありました。
旅の目的は観光だけではありません。
石材に携わる者として、この地域に残る歴史や文化、そして石の使われ方を自分の目で見てみたいと思ったからです。
今回訪れたのは、松江城、出雲大社、来待石ミュージアム。
それぞれの場所で、石が果たしている役割の大きさを改めて感じることができました。
歴史を見守る石 ― 松江城
最初に訪れたのは国宝・松江城です。
現存十二天守のひとつとして知られる名城ですが、石屋として真っ先に目が向くのはやはり石垣でした。
巨大な石が巧みに積み上げられ、何百年もの間、城を支え続けています。
重機もない時代に石を切り出し、運び、据え付けた先人たちの技術と努力を思うと、そのスケールの大きさに圧倒されます。
石には建物を支える力があります。
そして同時に、歴史そのものを支える力もあるのだと感じました。
地元石の野面積み
松江城と彩雲堂さんの大福
お城に登る前に、ちょっとエナジー注入
天守閣からのながめ
天守へ向かう階段は想像以上に急で狭く、昔の城らしい造りを体感できます。息を切らしながらてっぺんまで上ると、そこには宍道湖を望む美しい景色が広がっていました。
神々を迎える場所 ― 出雲大社
日本を代表する神社のひとつであり、縁結びの神様としても広く知られています。境内に入ると、まずその広さに驚かされました。ゆったりとした参道や歴史ある社殿が並び、特別な空気が流れています。
神楽殿では有名な大しめ縄の大きさに圧倒されました。写真では何度も見たことがありましたが、実際に目の前に立つとその迫力は想像以上です。
また、境内のあちらこちらには可愛らしいうさぎの石像が置かれていました。神話に由来するものだそうですが、参拝者の目を楽しませながら境内に温かい雰囲気を添えていました。
石屋として興味深かったのは、参道や石造物が決して主張しすぎることなく、この神聖な空間を支えていることです。石は目立つためだけに存在するものではありません。
人々が手を合わせ、心を落ち着かせる場所をつくり、その場の空気を整える役割も持っています。松江城では石が歴史を支えていましたが、出雲大社では石が祈りの場を支えているように感じました。



石が生まれる場所 ― 来待石採掘場跡
今回の旅で特に訪れてみたかったのが、松江市宍道町にある来待石の採掘場跡、いまはミュージアムとして保存されています。
松江城の石垣にも使われている来待石は、古くからこの地域の歴史や文化を支えてきた石材です。
来待石は加工しやすい特徴を持ち、古くから灯籠や石仏、建築材として利用されてきました。
展示されていた石造物やレリーフには、やわらかな表情や繊細な彫刻が施されており、石の持つ温かみを感じます。
織部灯籠
自然のなかに溶け込んでいく
採掘場跡
巨大な切羽を前に、思わずテンションが上がってしまいました(笑)
レリーフ
やわらかな表情や繊細な彫刻が印象的で、 石の持つ温かみを感じます。
おわりに
松江城で歴史を見守る石に出会い、出雲大社で神々を迎える場所を訪れ、来待石ミュージアムで石が生まれる現場に触れることができました。
石材店として、改めて石の魅力と可能性を学ぶ旅となりました。
普段は加工された石材を扱うことが多い私たちですが、その石がどのように産出され、人々の暮らしや信仰、歴史の中でどのような役割を果たしてきたのかを知ることは、大変貴重な経験でした。
石は、長い年月の中で人々の想いを受け止め、歴史や文化を未来へ伝えていく存在です。
また、旅の途中では宍道湖や日御碕をはじめとする山陰ならではの美しい風景にも数多く出会いました。豊かな自然と歴史、そしてその土地に根付いた石文化。それらが調和しているからこそ、出雲・松江ならではの魅力が生まれているのだと感じます。
今回、来待石という地域の歴史や文化を支えてきた石材に触れ、その土地と石との深い結びつきを実感しました。私たちの地元・和泉にも、かつては和泉砂岩という石材があり、地域の暮らしや歴史の中で利用されてきました。現在は産出されていませんが、来待石を見ながら、改めて地元の石文化にも目を向けてみたいと感じています。
青山石材店では、お墓づくりだけでなく、石材の持つ歴史や文化も大切に考えています。石に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。















